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Webライターの日常ブログ

「新しい文章力の教室」を読んで

コミックナタリー初代編集長 唐木氏の著書「新しい文章力の教室」を読みました。

とある、ライターをやっているブロガーさんの「儲かるライターになるには・・・」みたいな感じの記事があり、その中で「これだけ読めば十分」だと紹介されていた3冊のなかの一つです。

ブログの記事が記事だけに(笑)やや疑って見ていましたが、別のところのレビューでもこの本がおすすめだと言う見解を目にしたので、手に入れて読んでみました。

文章の基本的なプロテクニックが書かれた本

Webライティングの参考に読んだ本としては、以前読んだ「沈黙シリーズ」2巻に続いて3巻目ですが、この本はSEOには全く触れていないしマーケティングのこともほとんど書かれていません。読みやすく、完読される文章を目指すテクニックがシンプルに書かれています。

したがって「離脱されない」という意味でコンテンツSEOに通じ、ユーザーメリットを追求するという意味でマーケティングに通じる面を持った内容と言えます。

Webライティングとして網羅的な内容ではないのですが、ライターとしてはこれを先に読むべきだと思えるものでした。
どんな目的の文章にも応用できる基本的で分かりやすい文章の書き方を教えてくれます。

感じたポイント

個人的に参考になったというか、感じたポイントについて挙げておきます。

1. 文章が読みやすい

さすがに読みやすさを追求されている方だけあって、この本の文章はとても読みやすいものでした。
引っかかるような表現がなく、文章のクセを感じない点が素晴らしいなと思います。

2. 文章校正支援ツール等で知っていた内容を確認

文章校正支援ツールを使っていると、自動的にさまざまな指摘をしてくれますが「なぜそうなのか」という部分を詳しく知ることはできません。
この本で書かれていることは、ツールで指摘される内容も含まれていますが、指摘の意図を説明してくれているため、改めてポイントを理解できました。

また、ツールでは「〇〇はよくありません」などと断定されますが、解説のなかでは、基本はそうであっても状況によってあえてそう書くこともある、などと、幅を持たせた見解になっていて、心当たりのある部分があり腑に落ちました。

3. 各セクションとも納得できる内容

個別のテーマがどれも納得できるもので、なるほど、なるほど、と感じながら読み進められました。
一か所だけ「文頭一語目の読点は頭が悪そうな印象を与える」という内容の部分だけ、ちょっと引っかかりましたが。
「さらに〇〇では・・」と書くべきところを「さらに、〇〇では・・」と書くと頭が悪そうに見えるとのことですが、個人的にはそう思いませんでした(笑)

4. 「構造シート」と見出し・概要の関係

Webライティングでは「見出し」がかなり重要な要素になっていて、私が記事を書くときも、タイトルと見出しをまず考えます。
その次に、見出しの下に書く内容の「概要」を書きます。

そのようなことは、この本には書かれておらず、見出しに関する言及もありません。その代わり「構造シート」という手法が紹介されていました。
内容を構造化して概要を列挙していく方法なのですが、この構造が見出しに当てはまるため、構造シートの概念を見出し・概要の構成に置き換えて読みました。
内容が多くなると構造シートの中に構造シートを入れ子にするという考え方も、大見出し・小見出しの関係に置き換えることができます。

5. ナタリーの記事は短い

編集部には1日10本以上記事を書くベテランもいるという話が書かれていて驚きました。
ナタリーのサイトの記事を見てみると、コンテンツの紹介記事は300字ぐらいで、インタビューやコラムで3000字ぐらいの記事になっているため、10本ぐらい書く人がいても不思議ではないなと感じました。

ちなみに私が仕事で書く記事は通常3000字で、ときどき2000字や5000字の案件があるといった具合です。

ハンドブックとして手元に置きたい

基本的な文章の組み立てやタイトルの書き方、言い回しの是非などについて、わかりやすく解説されているため、バイブルのような位置づけにできる本だと思います。
ハンドブックとして手元に置いておき、折りに触れ眺めて頭に入れる作業を繰り返せば、文章を書く基本がマスターできそうな内容です。
これはとても価値がある本だと思いました。

(2023年1月16日 note に投稿した記事)