Webライターにとって最も身近なマーケティングの概念は「コンテンツSEO」ではないでしょうか。
Webの記事にユーザーが求める価値を与えることによってウェブサイトを充実させ、最終的に発信者(企業)の利益につなげるという概念です。
少し拡張した概念では「コンテンツマーケティング」というものもあります。
こちらはSEOに限らないという点で、Web記事だけでなく写真や動画など、またWeb以外のSNSやリアルでのマーケティングを含めた広い概念ですね。
WebライターはコンテンツSEOが基本
「SEO」というものにはあらゆる施策があり、必ずしもWebライターに関係しないものもあります。WebライターもSEOもWebマーケティングの一部ですが、無関係な部分もあります。
たとえばドメインを決めるのはマーケターや経営者の仕事ですが、ライターの仕事ではありません。HTMLの構造を考えたり、さまざまなタグを配置することもライターの仕事ではありません。
マーケターはあらゆることを考える必要がありますが、Webライターはひとまず「記事」に着目し、その目線からマーケティングを考えるのが仕事だといえるでしょう。
タイトル、見出しを含めた記事の構成、内容を考え、検索ニーズに沿った文章コンテンツを作ることが仕事ですね。
その仕事の結果がコンテンツSEOのアウトプットということになります。
企業におけるSEO部コンテンツSEO課
Webライターの企業のなかでの役割は、マーケティング事業部SEO部コンテンツSEO課の従業員のようなものでしょうか。
実際にそのような部署が存在するのかは分かりませんが、あっても不思議でない職場です。むしろこのくらいWebマーケティングにガチで取り組む会社があってもいいくらいでしょう。
SNSとは違う攻め方
SNSマーケティングは、マーケティング事業部SNS部の仕事といってよいでしょう。
近年はSNSマーケティングがクローズアップされましたが、最近はSNS自体に功罪があることや、メリットもデメリットもあることが理解されていると思います。
またSNSは、アカウントによるブランディング効果はありますが、個々のコンテンツ(投稿)は一過性のもので「お知らせ」や「広告」に近いものがあります。「いま」にフォーカスしているからです。
その点では、文章コンテンツそのものの価値を考えるとSNSではなくWeb、あるいはアプリ、あるいは紙媒体という見方になってきます。
長期にわたってそれらが多くの人々の目に触れるという事実があり、そのことでブランドの価値も決まっていくという部分は当然あるでしょう。
記事の利用価値
企業のウェブサイトのなかで、価値(利用価値)の高い記事はそう多くはないと思います。
グローバルナビゲーションに名を連ねるページは、記事そのものの利用価値が高いといえるでしょう。たとえば会社情報、商品・サービス、採用情報、IRやサステナブルなどのトップと、その下にカテゴライズされる固定ページなど。
それぞれが企業にとって大きな意味を持ち、企業や商品・サービスに関心を持ったユーザーが「まず」見る記事群です。長期にわたって何らかの意図の元に参照されるというニーズがあって、それが価値なのですね。
一方、ブログやコラムのように日々更新される記事はSNS投稿に似ていて、常に注目を集めるための仕掛けです。
そして検索エンジンからは「新しい情報がある」「情報量が多い」と評価されるために必要な記事群です。
固定記事と日々の投稿、それぞれに別の利用価値があって、最終的にはそれらがすべて、いつでも参照できる形でWeb上に置かれているものがウェブサイトだといえるでしょう。
記事は大事にしたい
仮にマーケティングの一部であったとしても、ユーザーが記事を読んでさまざまな認識・判断をするということは、ユーザーの消費行動に影響することなのです。
どのようなことが書かれているかによって、ユーザーのその後の行動が変わるはずで、それはページ構成やボタンの配置以上に重要だと考えています。
とくにブランディングを視野に入れた場合の、長期的なWebサイトの価値を考えた場合には、記事そのものの価値は決して侮れないと思います。
サイトの種類によってもその考え方には差異があると思いますが、少なくとも企業サイトとニュースサイトではまったく異なるでしょう。企業サイトには一貫して「伝えたいこと」があり、それを発信し続けることが必要だからです。
ユーザーニーズと企業ニーズのマッチング
コンテンツSEOはユーザーのニーズを読んで、それに応えることが第一です。
しかし企業サイトの場合は、それプラス、企業のニーズもあるわけです。
企業が何のためにその事業をやっているか、何によって社会に貢献するか、10年後にどのような企業になりたいかということを、企業自身が明確にしたいというニーズです。
企業の「こうしたい」をユーザーが見て「そうなんだな」と思えることは、顧客エンゲージメントの育成にとっては大切なことで、そのためには伝える力が必要です。
コンテンツSEOは、そういったことも含めてマーケティングの一部なのだろうなと考えているところです。